島の神社探訪

 沖縄県内で神社本庁に包括されている神社は11社と少ないですが、他にも神社本庁に包括されていない神社や、古くから地元の神様をお祀りしている御嶽(ウタキ)などが多くあります。ここでは沖縄神道青年会メンバーが訪れた神社を紹介いたします。※神社本庁包括下の県内の神社については沖縄県神社庁のページをご覧ください。

権現堂(石垣島・桃林寺)

神社名:権現堂(桃林寺・八重山権現) 御祭神:伊弉冉尊 速玉男尊 事解男尊  創建:1614年 例祭日:無し(石垣市に確認)

 八重山諸島・石垣島の権現堂を紹介いたします。(平成28年10月撮影。沖縄県神道青年会会長 奥原)

 現在、石垣島を含む八重山諸島には、神社本庁包括下の神社がありません。神主の常駐する神社もありません(※注)。もちろん他の島と同じように、神様をお祀りする御嶽(うたき)はたくさんあります。島のあちこちで鳥居と拝殿のある御嶽を見ることが出来ますし、豊年祈願祭などの島のお祭りも御嶽を中心に行われます。

 ※注:一時期、出雲大社先島本宮を名乗る神社(?)があったようですが、出雲大社教に確認したところ、出雲大社とも出雲大社教とも無関係との事です。沖縄の出雲大社は「出雲大社沖縄分社」のみということです。

 そしてそれらの御嶽とは別に、琉球八社や宮古神社と同じく、琉球王朝時代から熊野三神をお祀りする「権現堂」があります。「琉球国由来記」には、「南海山桃林寺併社」として登場します。ちゃんと「神社」という記載もあります。宮古権現(現宮古神社)とほぼ同じ1614年に建立されました。1771年「明和の大津波」で破壊されましたがその後再建され、現存する木造建築物では沖縄で一番古いそうです(国の重要文化財)。ご祭神は、伊弉冉尊、速玉男尊、事解男尊です。

 八重山諸島は、宮古島出身の私としては(勝手にライバル視しているため)とても気になる存在です。権現堂も以前から気になっていたのですが、まだお参りしていませんでした。今回私は、元奉務先である宮古神社の例祭に参列するため日帰りで宮古島に帰島。その時に石垣島を経由するという強行スケジュールで行ってきました。那覇空港から7:30発石垣島行き。新石垣空港から市街地向けバスで約30分、博物館前で下車。片道540円でした。他の御嶽や博物館(200円)を見学しつつ権現堂へ行きます。

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 バスを降りた通り(博物館と同じ通り)に桃林寺と権現堂があります。分かりやすいです。下車後バスの進行方向にまっすぐ歩いて10分くらいでしょうか。下の左の画像ではバス停を挟んで手前が権現堂、奥が桃林寺です。下の真ん中の画像は権現堂の門、右の画像は権現堂の拝殿です。バス停は「桃林寺」とありました。(空港→市街地行きバスは停まらないようです。)

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 ついに来ました。権現堂です。

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 朱色と赤瓦の、沖縄らしいとてもきれいな本殿です。同時期に造られた宮古権現もこんな感じだったのかなと思いました(勝手な推測です)。そういえば、那覇市首里の末吉宮の本殿にも似ている気がします。末吉宮も戦前は国宝に指定されていました(現在の末吉宮は戦後の再建)。安里の八幡宮にも似ています。琉球王朝時代の神社はこんな感じだったのでしょうか。

 宮古神社400年記念誌というものがありまして、この中に島民の証言を元に戦前の宮古権現堂を再現した図がありましたが、宮古権現堂の拝殿もこの権現堂と同じように、本殿とは分離した神楽殿のような造りだったようです。宮古権現堂は、2つの神社を合併して宮古神社にした為、戦前にはすでに取り壊されていた という事になります。石垣島ではそのまま権現堂として存続し、戦禍にも耐え、重要文化財の指定を受けました。なんだかうらやましいです。沖縄で現存する一番古い木造建築物って、かっこいいですよね。ただ宮古神社は宮古神社で、建て替えられて大きくなり神主も常駐しています。権現堂はお寺が管理しているようですので、神職はいません。(訂正※石垣市に確認したところ、結構前から石垣市が管理しているそうです。)神主としてはどっちがいいとも言えないですね…。しかし、沖縄の昔の神社の造りをそのまま残す権現堂は、大変貴重な神社だと思います。

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 途中寄った博物館に、権現堂の「鬼面」が展示してありました(上の左の画像)。以前はこれが4つ権現堂に飾られていたようです。なんで外してあるんでしょうね?レプリカでもダメなんでしょうか。何か理由があるのかもしれません。「博物館は宮古島の方が勝ったな…」と勝手に勝ち誇ってしまいましたが、この博物館にも是非お立ち寄りください。上の真ん中の画像は、お隣の桃林寺です。左の画像は桃林寺の仁王像です。なかなか立派ですね。1771年の津波の後、打ち上げられていたそうです。

 桃林寺と権現堂は、やはり桃林寺が主になっている印象ですが、私が想像していたよりも両者の規模に違いはありませんでした。敷地は隣接していますが区切られていて、こちらから権現堂、こちらから桃林寺という感じです。鳥居が無いので、お寺が2つ並んでいると感じるかもしれません。権現堂はコンパクトな本殿ですが、金武宮のように小さな祠ではなく、拝殿や門を含めると(小規模ではありますが)一応、神社です。ただ、島内のあちこちに鳥居がある御嶽があり、そちらのほうが神社っぽくも感じます。

 

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  おまけ(笑)で、宮古神社の例祭の様子です(上 真ん中、右)。12:20発の飛行機で宮古島へ。14時からの例祭に間に合いました。宮司(波上宮宮司が兼務)の着装の手伝いをして、役員・総代さんたちにあいさつしているうちにお祭りが始まりました。琉球舞踊の奉納や獅子舞の演舞などがありました。実家に顔を出して18:50発の飛行機で那覇へ。なんだか充実した一日でした(笑)。

 

石垣島へご旅行の際には、是非権現堂へお参りください!

Google Map 権現堂

https://goo.gl/maps/59dG9VoqicJ2

 

宮古神社もよろしくお願いします!

http://miyako-jinja.com

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