沖縄県神道青年会会長・奥原が、地元宮古島の神社を紹介いたします。伊良部島の大主神社編です。

　昨年(2015年）、伊良部大橋が開通して、今とても熱い伊良部島。宮古島から車で渡れるようになりました。徒歩でも渡れます（橋は約3.54km）。私は開通の時期はちょうど宮古神社に奉仕していたので、開通日当日に渡りました。伊良部島は人口約6000人の小さな島です。私の両親は伊良部島の出身でしたので、正月やお盆は伊良部島の佐良浜で過ごすことが多く、割となじみのある場所です。　

　大主神社は、伊良部大橋を渡り切って右折、佐良浜港に向かってずっとまっすぐです。佐良浜港を過ぎて公衆トイレで右折、さらにガソリンスタンド前で左折、ちょっといくと鳥居が見えます。大主神社（おおぬしじんじゃ）という名前ですが、元々は大主御嶽という御嶽です。地元の言葉では「うぱるず」というようです。近くにある橋には「おはるず橋」と書かれているので、御嶽から橋の名前をとったんでしょうか。小さい頃よく母に、「アンタは、おはるず橋の下から拾ってきたんだよ」と言われていた、私に縁のある橋です。大主神社は父の実家がすぐ近くにあり、正月はたまにここで初詣していました。私が行くのは昼過ぎとかでしたが、境内にお賽銭がたくさん落ちていたので、おそらく夜に大勢の人が初詣に来ていたんだと思います。

　ずいぶん古くなっていますが、コンクリート造で赤瓦の結構立派な社殿です。島の方々の寄付で昭和60年に改築とありました。宮古島・平良の漲水御嶽のように手水舎やトイレがありますが、ここは敷地が広いせいか幾分かゆったりしたつくりです。　神社の前に新しいバス停が出来ていました。本数は少ないですが、宮古島からバスで行けるようです。また、ポケモンGoのジムにもなっていました。私がお参りした時ちょうど近所の女の子たちが3人でお参りに来ていて、「神社お参りするときは手を洗わないとだめってお母さんが言ってたー。」みたいな会話をしていました。なんだかほほえましかったです。

　拝殿の中には寄付してくれた方々のお名前がたくさん書いてありました（下画像）。拝殿の奥には本殿があります。鳥居前からは海側（の崖）に続く広い緑地があります。小さい頃、正月にここでイトコ達と遊んでいてお年玉が入った財布を落として失くしたことはちょっと苦い思い出です。あれ以来、親戚中から財布を失くす人扱いされます。

　琉球王朝時代は薩摩侵攻後、宮古、八重山に人頭税という重税が課せられていて、宮古島では税を効率よく徴収するため、計画的に分村が行われていました。　池間島から伊良部島の佐良浜、西原（宮古島）へ村分けが行われました。伊良部漁協組合のホームページを見ると、1720(享保5)年とあります。その際、池間島にあった大主御嶽を佐良浜と、西原にも持っていったそうです。なので大主御嶽は池間島、伊良部島、西原にあります。この池間、佐良浜、西部の部落は言葉もよく似ていて、宮古島の平良などとはずいぶん違います。御嶽も同じ、言葉もおなじです。

　沖縄からハワイへ移民たちが渡った時に、波上宮と普天間宮、惣慶宮の分社を作ったそうです（現在はハワイ出雲大社に合祀されているようです）。沖縄の人たちがどこかに移住するときは、「やっぱり神様も持って行かないと。神様大事。」と考えるんでしょうね。

　大主神社のご祭神については民話が残っています。昔、ある女性が卵を産みました（！？）女性はびっくりして卵を隠しました。数日後その場所へ行くと、子供たちが寄ってきて「お母さん」と言ってきたのでまたびっくり。そうこうしてるうちに天から神様（お父さん!?）が降りてきて「この子たちはかみさまになるのだ」と宣言。各方位を守る12柱の神様になり、その一番目の神様が大主神社に祀られているそうです。

 

　伊良部大橋が開通してとても行きやすくなった伊良部島。宮古へお越しの際は、大主神社もお参りしてみてはいかがでしょうか。

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